『静かな誕生日』

去年の今日は、たしか西表から宮古に渡る日だったはず。見送るが(いつものように)二日酔いでぐったりしていたっけ。
その前の年は、もう宮古に辿り着いていた気がする。

今年の今日を、モノの無くなりつつあるこの部屋で過ごしているのは、予定よりチョット遅いペースだけど。
でもまぁ、去年の今日に決めたことを、順調に歩んでいる証。

というか、去年考えてたことより、かなりハードル上がってるんですけど!
運命のいたずらとしか言いようが無いな。
俺の人生、万事この調子!
ケセラセラ♪

フリーランスになって10年。
そして、三度目の年男を迎える、節目の年。

この部屋に越してきた12年前と比較して、変わったこと。
あまりにも多すぎて選ぶのが難しいけど、もし一つだけ選ぶとすると。

僕は、12年前より、ずっと泣き虫になったと思う。

もちろん。
パチンコで負けたくらいで泣きはしない。
仕事の契約が切られたくらいで泣きはしない。
仲の良かったはずの友達に裏切られたくらいで泣きはしない。
口説いていた女の子から絶縁されたくらいでは、泣きはしない。

それでも、僕は12年前よりずっと泣き虫になった。
そしてひとしきり泣き終える度に、僕は少しづつ自信をつけ、そして少しづつ強くなったのだと思う。
新しい部屋に移ってからも、これからも、僕は何度も泣き続けるだろう。

あまりにも綺麗な夕日だったので、写真を撮ろうと玄関を出たら、先客が3人も居た。
お隣さんと、そのお母さん。
それと2Fに住んでいるという、見たこともない方が、今まさにシャッターを切らんとするとこだった。

住み慣れたこの街、この部屋を、もうすぐ離れるなんて、ちょっと惜しい気がするな。
でもこの程度では、僕はもう、泣きはしない。

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